Dr.城戸のインプラントブログ

アガリ症の女

image-1.jpegアメリカ人の父は、彼女がこどもの時に亡くなった・・・
そしてイギリス人の母親の手ひとつで育てられたんだ。
 彼女は、学校へは行かなかった。
 自宅で教育を受けることになったんだ。 今は日本でも、フリースクールとか、あるけど、彼女の誕生は1890年・・・
とても奇異なことだったんだ。 
それでも音楽が心の支えだだった彼女は、16歳の時に、パリの音楽学校へ進んで行った。お母さんも、娘の夢を、一生懸命に、自分の生活をも切り詰めて
後押し、したんだね。
 image-10.jpeg image-26.jpeg でもなー、彼女には、どうにも成らないほどの、致命的な欠点があった。あー・・・・・

それは、人前に出るとね、生まれたての仔羊のごとく、プルプル、プルプル、プルプル震えちまうんだよ。 病的とも言えるほどの極度のアガリ症で、医者にも匙を、投げられ、
「ここまでくると、努力とか、クスリとかではどうにもならない」と image-19.jpeg太鼓判?を押されちまったんだ。 
「わたしは、お客さんが、誰もいないところでしか、本領発揮できないの・・」
  結局、これでは、プロの演奏家になれるはずもなく、子供の頃からの憧れは、断念せざる得なかった。
image-17.jpegこれには、本人も、母親も意気消沈・・・そもそも、人と接することも苦手で、幼少期から自宅学習してきたくらいだから、社会にも上手く溶け込めない・・・
 毎日、家でウダウダ、ウダウダ、ウダウダ・・    お姉さんに、「生きる屍なの!」と罵倒された。
『じゃあ、内向的な私にでも、できる小説でもこうかな・・』 って思わず出たimage-14.jpeg反論・・・
お姉さんは、「なに言ってるのよ、書けるわけ無いじゃあいの」 『でも推理小説読むの好きだもの』
「はは、それじゃあ推理小説ファンはみんな作家になっちゃうじゃあない!」
『なによ、書いてやるわよ、見てなさい、バカにしてばかりでさ』
image-23.jpeg  きっかけなんてなんでもいいんだ。 むしろビックリするくらいひょんなところに落ちているモンだ。

そして26歳のとき。ついに小説を書き上げたんだ。やはりやってみると大変で、年月を要した。
 が、・・・   1社目ダメ。2社目、ダメ。 コメントのひとつもない。3社目、4社目、5社目、6社目、ぜーんぶダメ、ダメ、ダメ。 
それから4年過ぎimage-22.jpegたある日のこと。 彼女の元に1つの手紙が届く。ある出版社からの呼び出しだった。 
極度のアガリ症の彼女が、失神しそうになって行ってみると、
「かなりの、書き換えが必要なこと。もうひとつ印税はなしの条件でやってみますか?」とのオファー。
 でも彼女は即答したよ。
「問題有りません。やらせて下さい、是非やらせて下さい」・・と!
 私に選択の余地なんて無いんだ・・。  彼女は、心に決めていた・・どんなことでもやろう・・どんな条件でものもう・・と!
image-21.jpeg こうして彼女は1920年、7社目にしてようやく出版にコギツケルことができたんだ。

タイトルは『スタイルズ荘の怪事件』粘ること4年。・・母さんも姉さんも、もう声さえかけられないほど、内向的になっていったという。  世間からは、バカにされ続けたけれども、でも家族はズッと彼女を応援してきた。  
 a_andthen.jpg 
そしていよいよ、ここから彼女の大逆転が、幕を、開けた。
  小説を書くことなら、人前に出なくても出来る。
 「オリエント急行殺人事件」「アクロイド殺人事件」「そして誰もいなくなった」・・・なんと、
それらの作品は、全世界配給。  聖書、シェイクスピアに次ぐ発行部数(15億冊以上)で、彼女は『ミステリーの女王』とまで言われる様になった。
  image-2.jpegアガサ・クリスティー女史・・・オイラがもっとも支持する作家のひとりだよ。
  推理作家では文句なしの一番だ。
 次がエラimage.jpegリー・クイーンね!!  
世界で最も権威のあるとされる、アメリカの 探偵小説・推理小説クラブが、現代のベストセラーノベルはすべて「探偵小説のチャンドラーと推理小説のクリスティーの焼き直しに過ぎない」と厳しい指摘があったくらいだ。
   アガサ・クリスティー・・・アガリ症でなかったら作家への扉は開かなかった。
 ありがとう・・アガリ症
image-9.jpegありがとう・・・内向的な性格
ありがとう・・・『あんたには 無理よ!』
  欠点・・って 『欠』かせない『点 』・・・ 
ここに気づいた
image-5.jpeg アガサは、自分の人生を自分の流儀で生きた・・・・
 気づかずに いれば、人前で演奏できないチキンハートな音楽家で、オイラも知るよしもなかったんだ。  
   「憂鬱なことや悩み,よってらっしゃい、よってらっしゃい」 
希望の芽がそれに、正比例して必ず吹き出る
  ・・・
  image-8.jpegimage-25.jpeg極度のアガリ症・・・・・Thank you Thank you Thank you Very much 
   Thank you Thank you Thank you Very much・・・・私の人生・・・アガサ・クリスティー
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